行動開始

例の「特殊な業界」への転職だが、腹を決めて、いよいよ具体的な行動に移ることにする。

未経験者でも受け入れてくれそうな会社は、インターネットで少しは探し当てていたので、今日はその中の二社にエントリーすることにした。

一社目。エントリーはWEB上のフォームのみで受け付けている感じだったが、その次の履歴書の発送は郵送とメール送信のどちらかを選べるようになっている。
俺は履歴書の用紙と写真を節約したいので、PCで作成して、メールで送ることにした。

だが、履歴書メーカーというサイトで作成するのだが、ここは写真のアップロードは毎日、一定以下の回数に制限されている。
これを利用するのは初めてのことだから、何度も念入りに見直し・修正していたら、今日は送れなくなってしまった。

そこで、もう一社にも問い合わせの電話を掛けてみることにした。

しかし、俺は基本的に電話というものは、掛けるのも掛かってくるのを取るのも苦手なのだ。
ましてや、今までの人生で接点が無かった業界だ。世間一般の業種の求人に応募する場合とは、何か違うことがあるような気もする。



不安が大きくて、電話機を握っても、なかなか番号を押すことができない……。
でも、俺の中では、「今日から行動するんだ」っていう決意のようなものがあったので、その会社の事務所が営業している時間帯内に電話するしかない。もう、思い切って掛けた。

電話に出たのは、ぶっきらぼうなオヤジだった。
「……採用担当の方をお願いできますでしょうか?」
緊張しながら、何とか用件を伝えたら、「はい、どうぞ」と言う。
ここは小さい会社だから、社長自身が採用をやっているらしいということは会社のサイトで知っていたんだけれど、やはり、電話に出たのは社長本人だろう。
「……じゃあ、まずは履歴書をもらいたいんだけれど」
「はい。郵送させていただいて宜しいでしょうか?」
「うん。分かりました」

最初の電話は手短に済まされた。相手の方からは何も尋ねられなかった。歳や住所も聞かれなかったな。
ぶっきらぼうというか、いや、自分はあまり喋らないで、まずは話を聞きながら、相手を観察しているのかも知れない。
単にそういう性格なのか、或いはここ最近、問い合わせが増えていて、もう、お腹いっぱいで等閑な気分になっているのか、その両方かも知れない。
あまり脈は無いですかね……。ダメモトだな。

同業他社も応募の電話を掛けたら、こんな感じなのか?
この業界の人間はどういうタイプが多いのか、まだ、見えていない部分が多い。そういう不安もある。

とりあえず、今日コンタクトを取った二社には、履歴書を送ってみるのだ。
面接してもらえるかどうかも分からないが。

果たして、どういう展開になるだろうか?

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